管理会計は経営的に意思決定をするために必要なものですが、意思決定をする上でどんな判断基準かが必要になってきます。意思決定によって影響を受けるコストと影響を受けないコストがあります。その中で埋没原価と機会原価というキーワードは管理会計を勉強していく上で重要な用語です。
そこで、今回は管理会計における埋没原価と機会原価について解説します。管理会計は簿記1級の出題範囲でもありますので、これから簿記1級を受験する方におすすめの記事になります。ぜひ、最後までご覧ください。
この記事をぜひ読んでほしい方
・埋没原価と機会原価についてイメージが湧かない方
・これから簿記1級を受験する方
1.埋没原価とは
冒頭で意思決定によって影響を受けるコストと影響を受けないコストがあるとお伝えしました。前者を関連原価、後者を無関連原価といいます。
無関連原価は埋没原価とも呼ばれているのです。埋没原価というのは、意思決定の前に起こった過去のコストであるので、将来の意思決定に影響を与えることはありません。過去に埋没して無関係になったコストと覚えていただいても構いません。
例えば、2泊3日の旅行に行くとして、キャンプする案とサーフィンする案があるとします。キャンプする案の場合は食材の購入やテントを借りたりする必要があります。一方、サーフィンをする案の場合、サーフボードを借りたり、ホテルを予約しなければなりません。その前に旅行に行く準備として、自動車で行く前提であれば、毎月、自動車の維持費用がかかりますよね。
自動車の維持費用は意思決定の影響を与えることはないので、埋没原価に当たります。
2.機会原価とは
機会原価は、ある案を選択することで、得られたであろう利益ということです。つまり、別の案を選択してしまうと、失ってしまう利益のことをいいます。
先ほどのキャンプする案とサーフィンをする案の2泊3日旅行に行く話に戻りますが、例えば、サーフィンする案で予約したホテルに泊まって口コミをSMSに投稿すると1万円のキャッシュバックが還元されるとします。そうすると、サーフィンをする案を選択すれば、1万円得られる利益になりますが、キャンプをする案を選択すれば、1万円失ってしまう利益ということです。つまり、この1万円のキャッシュバック還元が機会原価というわけです。
キャンプする案とサーフィンをする案の2つの案を例で紹介しましたが、管理会計においてそれぞれに発生する原価を集計して差額利益を計算していくことが重要になってきますので、ぜひ、この考え方は覚えておいてくださいね。
3.まとめ
今回は、管理会計における埋没原価と機会原価について解説しました。管理会計で意思決定をする上で影響を受けるコストと影響を受けないコストを分類していくことは大切なことです。複数の案の判断基準としてコストや利益が重要なポイントですので、埋没原価と機会原価を意識して経営的な意思決定をしていきましょう。