コロナ禍になってから業界によっては急激に売上が減少し、コストダウンをしなければならない会社が増えていますよね。特に航空と外食業界は設備や人件費などの固定費が他の業界よりも圧迫され、打撃を受けています。どの会社も赤字を出さないために必死に頑張っていますが、ここで経営の意思決定に必要な要素として「損益分岐点」が重要なのです。
そこで、今回は損益分岐点は経営の意思決定で必要というテーマで解説します。損益分岐点で関わってくるものの中で安全余裕率は切っても切れない重要なキーワードです。損益分岐点を利用して経営判断をしていない実務担者、安全余裕率はどのくらいの割合であれば大丈夫と思う方に必見の記事になりますので、ぜひ、最後までご覧ください。
この記事をぜひ読んでほしい方 ・損益分岐点を経営判断の材料としていない実務担当者 ・安全余裕率の割合がどれくらいであれば安心か知りたい実務担当者
1.損益分岐点について
まず、会社は営利目的であるので、利益を出さなければいけません。売上高よりも費用が上回れば利益が赤字になってしまいます。売上高と費用がイコール、つまり利益がゼロの時が損益分岐点になります。なので、損益分岐点は製品をいくつ製造し、製造したものをいくらで何個売れば赤字にならないのかという視点で経営判断に必要不可欠なものなのです。
例えば、売上高が100,000円で売上原価が60,000円とします。そうすると、売上総利益が40,000円になりますよね。そして、人件費が18,000円で家賃が12,000円かかったとすると、手元に残った営業利益が10,000円になります。
ここで、重要なのが変動費と固定費になります。変動費は売上原価の60,000円、そして、いくつ売っても変動しない固定費は人件費と家賃の合計30,000円ですね。
損益分岐点を算出するために変動費率を求めなければなりません。変動費率は変動費60,000円を売上高100,000円で割ったもので、変動費率は0.6になります。ちなみに、売上高が300,000円と5倍になったとしても、変動費率0.6から売上高300,000円を掛けて、変動費180,000円を求めることができます。
ここで押さえておきたいことは、利益がゼロという前提であれば、売上高は変動費と固定費を足すとイコールになるということです。
それをもとに売上高をx円として、損益分岐点売上高を求めると、
売上高x円 = 変動費率0.6×売上高x円 + 固定費30,000円
損益分岐点売上高は75,000円になります。
損益分岐点を要素として経営判断の意思決定をすることは重要なので、ぜひこの例を参考に覚えておいてくださいね。
2.安全余裕率について
安全余裕率とは、損益分岐点売上高に対して実際の売上高がどれだけ乖離しているかということを示す指標になります。
安全余裕率の計算方法はこちらになります。
安全余裕率 = (実際の売上高ー損益分岐点売上高) ÷ 実際売上高 × 100
当たり前になりますが、安全余裕率の割合が高いほど利益が安定しています。ここで、安全余裕率がどれくらいあれば安定しているのかについてはこちらを参考にしてください。
- 10%未満:危険領域 改善が必要
- 10%以上〜20%未満:平均的な水準
- 20%以上〜30%未満:良い
- 30%以上〜:優秀
3.まとめ
今回は、損益分岐点は経営の意思決定で必要というテーマで解説しました。特にコロナ禍では急激に売上高が減ることもあるので、経営計画を立てる上で、損益分岐点売上高は非常に重要な手法といえます。また、安全余裕率を指標に自社がどれだけ経営が安定しているのかを確認するのも必要なことですね。ぜひ、損益分岐点や安全余裕率について取り入れていないのであれば、すぐにでも使えるので実践しましょう。