【電子帳簿保存法実務担当者必見】帳簿の記載事項と注意すべき点とは?会計システム連携を絡めて解説

【電子帳簿保存法実務担当者必見】帳簿の記載事項と注意すべき点とは?会計システム連携を絡めて解説

2023年1月7日
Pocket

電子帳簿保存法では国税関係帳簿を保存する規定があることはご存知かと思います。ただ、国税関係帳簿といっても、「法人税」「所得税」「消費税」のほか、「印紙税」「酒税」など様々な帳簿が対象となります。さらに、電子帳簿の保存要件で「電子計算機を使用して作成する」という文言があるので、「どういう帳簿が電子帳簿保存法の対象なのかが複雑だな」と感じる実務担当者は多いのではないのでしょうか。

 

そこで疑問に思うのは、

「国税関係帳簿はどういうものがあるのだろう」

「電子帳簿保存法の実務対応していくために帳簿にどういう記載をしなければならないの」

「会計システムを導入しているけど、電子帳簿保存法対応のために何か準備しておく必要があるのかな」

 

と思う方が多くいるかと思います。

 

そこで、今回は電子帳簿保存法実務担当者向けに「帳簿の記載事項と注意すべき点とは」というテーマでわかりやすく解説していきます。多くの企業で会計システムを導入するのが当たり前となっている現在、電子帳簿保存法対応のために会計システムとの連携についても紹介しています。最後までこの記事を読むことで、電子帳簿保存法の実務対応で準備しておくべきことのイメージができますので、ぜひ、最後までご覧ください。

 

この記事のオススメな方

  • 国税関係帳簿の種類について知りたい方
  • 帳簿に記載すべきことについて情報収集中の電子帳簿保存法対応の実務担当者
  • 電子帳簿保存法による会計システムの改修などに追われている実務担当者

 

 1.【国税関係帳簿の種類】

国税関係帳簿書類を大きく分類するとこちらの表の通りです。

 

国税関係帳簿書類の種類

法人税・所得税・消費税 仕訳帳、総勘定元帳、その他必要な帳簿
源泉所得税 非課税貯蓄の限度額管理に関する帳簿
印紙税 課税文書の受払に関する帳簿
酒税 酒類に関する事実を記載した帳簿
その他税金 揮発油税、たばこ税などの帳簿

 

国税関係帳簿の規定として、すべての取引を記載する帳簿が定められている法人税法と所得税法が基本です。

 

「保存義務者は、国税関係帳簿の全部または一部について」という電子帳簿保存法4条1項の文言から、電磁的記録の保存が定められていますので、国税関係帳簿の全部だけでなく一部も対象となることがわかるでしょう。

 

法人税法によると「仕訳帳、総勘定元帳、その他必要な帳簿を備え、取引に関する事項を記載しなければならない」ということから、仕訳帳や総勘定元帳、その他必要な帳簿が電子帳簿保存法の対象となりますね。

 

ちなみに、その他必要な帳簿とは、「現金出納帳」「売掛金元帳」「買掛金元帳」「固定資産税台帳」「経費帳」から「売上帳」「賃金台帳」「減価償却資産台帳」「工事原価台帳」などがあります。

2.【帳簿の記載すべき事項と注意すべき点】

まず、帳簿の記載事項として青色申告法人の場合、「仕訳帳には取引の発生順に、取引年月日、内容、勘定科目および金額を記載しなければならない」という規定があります。仕訳帳は、取引の発生順に記載することが定められています。

 

ただし、この規定は手書きで仕訳帳を作成することを前提とした規定なので、電子帳簿保存法では、取引発生順に入力する必要がなくて、取引書類や取引情報ごとに仕訳情報を作成すれば大丈夫なのです。注意すべき点として、仕訳帳には取引年月日が必須となりますので覚えておいてくださいね。また、総勘定元帳は計上年月日の入力が必要なので、注意してください。

 

また、電子帳簿保存法対応として多くの企業が会計システムについてどうすればいいのか頭を抱えている実務担当者が多いでしょう。例えば、営業管理システムから売上管理システムの業務システムから、総勘定元帳と紐付けて作成している場合であれば、会計システムへの仕訳情報をシステムと連携しているので、一気通貫にすべての帳簿を電子計算機で作成できるといった理想的な形です。しかし、多くの企業はそうではありません。

 

たとえ、会計システムへのデータ連携がされていない場合でも、業務システムのデータが取引ごとの情報を記載していれば、業務システムのデータを補助簿の単位として電子帳簿の対象にすることができますので、ぜひ、電子帳簿保存法の実務担当者の方は覚えておいてください。

 

ただ、注意してほしいのは、システム連携されていないものについて、その根拠となる書類や帳票の書類を書面で保存することが必要となりますので、仕訳情報の根拠となる書類は破棄することはできません。

 

もし、仕訳情報の根拠となる書類を保存していない場合、税務調査があった際に課税上の問題を指摘されることもあるので、仕訳情報の根拠となる書類や資料についてはきちんと保存したほうがいいですね。 

3.まとめ

今回は、電子帳簿保存法実務担当者向けに「帳簿の記載事項と注意すべき点」について解説しました。電子帳簿保存法対応を実務担当者はこれからシステムの改修やどういうものが必要でどんなルールがあるのかを情報収集されるかと思います。電子帳簿保存法だけでなく、インボイス対応も今後絡んでくると思いますので、ぜひ、インボイスに関する記事もいくつかありますので、他の記事もご覧くださいね。