標準原価計算では、製造現場で材料の数量差異であったり、作業時間差異を分析することによって、現場の生産性などを管理できる方法でしたが、コロナ禍からロボットの活用による工場の自動化が加速してきました。そうすると、現場で働く従業員が削減されてしまい、産業用のロボットが計画通りに成果をキープするので標準原価と実際原価の差異の乖離が広くならなくなりました。
そこで、注目されている原価計算と原価管理の方法として、「ABC(活動基準原価計算)」と「ABM(活動基準管理)」というものがあります。
気になることとして、
「ABCとABMというものはどういう仕組みだろう」
「ABCとABMというのは標準原価計算と何が違うのだろう」
と思う方がいるかと思います。
そこで、今回は「ABC(活動基準原価計算)とABM(活動基準原価管理)とは」というテーマでわかりやすく解説していきます。その上で、標準原価計算の製造間接費の配賦方法との違いについても触れますので、管理会計について情報収集している方や簿記1級を勉強している方にぜひ、ご覧いただきたい記事です。最後までこの記事を読むことで、ABCとABMの理解だけでなく、標準原価計算との違いまで理解できますので、ぜひ読んでください。
この記事のオススメな方
- ABCとABMとついて知りたい方
- 簿記1級で原価計算を勉強している方
1.【ABC(活動基準原価計算)】とは
ABC(Activity-based Costing)とは活動基準原価計算のことで、一言でいうと、間接費を活動と呼ばれる単位に割り当てて、その活動を基準にして製品へ原価を割り当てることで製品原価を算定する方法のことです。これは、標準原価計算のように部門へ割り当てるのではなく、ABCは活動に焦点を当てて、間接費を配賦し、原価低減や予算管理に利用するための目的として使用されています。
ABCについてもう少し具体的に説明すると、活動を原価の集計場所ということで、この集計場所のことをコスト・プールと呼んでいます。投入された資源については活動に消費され、資源作用因を配賦基準として各活動に配賦していきます。そして、各活動については製品に消費されますから、集計された間接費については活動作用因を配賦基準として、製品の原価計算対象になるものに配賦して、原価計算をしていくという流れになります。
ABCのメリットとして、資源を活動ごとに配賦することで、各活動の回数や時間と資源の消費との間で比例的な関係が明確になるということが挙げられます。例を挙げると、品質検査の原価などで、配賦基準で品質検査の回数を使用すると原価と回数は比例的な関係になる可能性が高くなるからです。なので、間接費の配賦の精度を上げるにはABCを利用したほうがいいと考えられています。
2.【ABM(活動基準原価管理)】とは
ABB(activity-Based Management)とは活動基準原価管理のことで、簡単にまとめると、活動ごとの仕事のやり方に焦点を当てることで、原価低減をしようとする方法のことになります。ABMで利用されるケースとして、活動分析や原因作用因分析、業績測定が挙げられます。
活動分析では、業務プロセスでそれに関わる従業員や時間やコストをインタビューなどで分析して、企業にとって、価値を生み出すものなのか、無駄なものなのかを把握していきます。
原因作用因分析では、資源と活動に関わる資源作用因や活動と原価計算に関わる活動作用因に因果関係があるかを分析していきます。
そうすることで、間接費が発生する原因や見えなかったものが見える化される効果が期待できるのです。
3.まとめ
今回は、「ABC(活動基準原価計算)」と「ABM(活動基準管理)」について解説しました。標準原価計算の考え方だけでなく、ABCの原価計算方法やABMの原価管理方法といった内容が理解いただけたかと思います。もし、原価計算に興味がある方や勉強したい方は他の記事もいくつかピックアップしておりますので、ぜひ、ご覧くださいね。