会社からの働き方改革でテレワークや在宅勤務を導入して利用している社員も多いですよね。取引先や顧客によってはペーパーレス化を求められることもあります。また、これから会社が存続するためにもDX化を推進し、どうしていいのかわからなくて頭を抱える社員もたくさんいるでしょう。特に、経理部門のDX化は紙文書の文化が根強い会社にとってハードルが高いといっても過言ではありません。
経理部門でDXをこれから始めようとする会社にとってこのような不安を感じませんか。
- 何から始めていいのか分からないからDX化がうまくいかなさそう
- システムを導入しないといけないから高額な予算が必要だから大変そう
- 会計システムをカスタマイズしているからDX化するのがそもそも不可能
そこで、今回は「経理部門でDX化のよくありがちな失敗とは?」というテーマで解説していきます。経理部門でDX化を進めていくなかで、やはり失敗するケースはあります。ペーパーレス化や電帳法対応のシステム導入などはDX化で重要なポイントです。DXの失敗例と成功例をそれぞれ紹介しますので、自分が経理部門のDX化するときにどのフェーズにいるのかなど参考になれば幸いです。
この記事を読むと得られること
- 経理部門のDX化までの道筋がわかる
- 自社に合わないシステムを導入するリスクが減る
- 計画的に経理部門のDX化を実現できる
目次
1.よくありがちな経理部門のDX失敗例
1-1. DXに向けてやるべきことを先延ばしに対応
DX化に限らず、場当たり的な対応でプロジェクトを進めていくと失敗するケースは多いですよね。経理部門のDX化で失敗した代表的な例が、電帳法による電子取引のデータ保存の義務づけの対応です。もともとは2022年1月から電子取引のデータ保存が義務づけられる予定でした。しかし、多くの企業が対応できなかったこともあり、電子取引のデータ保存の義務づけが2023年末まで延期となったのです。いまだに場当たり的な対応をしている会社も多く、アナログとデジタルが入り混じった二重管理で業務の負担に苦しんでいる社員も少なくありません。もし、場当たり的な対応をしていると感じた方は、早急にDX化を進めるためにも経理部門で計画を立てるなど相談したほうがいいかもしれませんね。
1-2. 会計帳簿や伝票をペーパーレス化がゴールだと勘違い
紙文化が根強い会社にとって会計帳簿や伝票をペーパーレス化するのはハードルが高いと思いますが、ペーパーレス化することだけがゴールではありません。ペーパーレス化だけでなく、電帳法に対応した会計システムの仕様に変更するなど、DX化をするためにやるべきことがたくさんあります。DX化を失敗しやすいケースとして、直接担当している業務のことしか考えずにDX化を進めることです。会計システムの取引全体の流れを把握した上でDX化を進めないと、余計な工数がかかってしまうこともあるので気をつけてください。
1-3.新しい機能や高性能のシステムに目がいき予算が取れない
DX化を進めるにはシステム導入を検討する場面がありますよね。経理部門は会計知識においてプロフェッショナルだと思いますが、会計システムの仕様やIT知識については抵抗がある方は多いでしょう。複数のITベンダーから提案を受けて比較して検討しても、どの会計システムが自社に合うのか判断できません。よくあるケースでは、新しい会計システムを導入するならたくさんの機能があって高性能なものを選びたがります。高性能な会計システムほど金額が高くなるのは当たり前です。会計システムは数百万円から数千万円までピンキリですが、いいシステムを導入しようと思っても、予算が取れずに導入できないでしょう。
2.経理部門のDX成功例
2-1. 中期計画に基づいた経理部門のDX移行作業計画を作成
経理部門のDX化が成功しているケースとして、プロジェクトメンバーにDX化をするための全体のロードマップが共有されていることです。会社の中期計画に基づいて今はどの部分からDX化を進めていくのかをプロジェクトメンバー全員が認識しています。さらに、電子帳簿や電子取引、スキャナ保存などのやるべきことを具体的に大日程から小日程まで細分化してDX化を推進しているのです。会社にとってどれからDX化をすべきか、法改正の対応など優先順位をつけてスケジュール通りDX化を進めることで失敗するリスクが格段に減るでしょう。
2-2.会計システムの取引から入金までの全体の流れとデジタル化できる業務範囲の把握
経理部門のDX化することにおいて最も大切なことは会計システムは取引全体の流れを理解したうえで、一気通貫で業務効率を図ることです。個別の業務ごとにDX化をしてしまうと、あとでそれぞれの業務と連携するときに余計なカスタマイズなどが発生し余計に費用が発生します。業務効率化を図るには、経理部門で業務の課題を洗い出し、課題を解決するためにはどのような機能や仕組みが必要かを検討していくことです。部分ごとに見るのではなく、全体を見ることを意識しましょう。
3.電帳法対応のシステムを導入するためにすべきこと
3-1. ペーパーレス化してデジタルデータを一元管理
経理部門のDX化をするために電帳法対応は欠かせません。やはり、電子データ保存のペーパーレス化は早急に対応しなければならないでしょう。取引先の請求書をインターネットを利用してやり取りする場合は、電子取引の扱いとなるため電子データで保存しなければなりません。事前に電子データの保管のルールを決めておけば、電帳法が改正したタイミングでも慌てることはないので今のうちに考えておきましょう。また、紙の請求書や領収書の保管方法もスキャナ保存で電子化しておくと、一元管理できるメリットもあるのでオススメです。
3-2. 標準システムを業務に合わせるように要件定義をブラッシュアップ
やはり、現在利用している会計システムをカスタマイズしている会社は新しい会計システムを導入するときに苦労します。しかし、会社独自のやり方がある事情もわかりますが、標準システムでも運用できる仕組みに対応しなければDX化はできません。標準システムでDX化に成功した会社は法改正があってもバージョンアップ費用や保守の範囲内で低コストで運用可能です。カスタマイズしてしまうと、標準システムよりも将来的にコストがたくさんかかるケースが多いので、この機会に標準システムにも対応できるように業務を見直していきましょう。
4.まとめ
今回は、「経理部門でDX化のよくありがちな失敗とは?」について解説しました。多くの会社が経理部門のDX化に向けてプロジェクトを進めていますが、頭を抱えている社員は多いと思います。DX化に失敗しないためにも全体を把握して今のフェーズでは何をしなければならないのか、担当者一人ひとりが協力していきましょう。
経理部門のDX化に関する記事以外にも、電子帳簿保存法やインボイス制度など経理に関する役立つ記事を投稿しています。よかったらお気軽にご覧ください。