組織再編をする上でどのような手続きが必要か知っていますか。株主総会の特別決議であったり債権者異議手続きが必要だったりいろいろやることがあって大変だと思うでしょう。
今回は組織再編の手続きについて解説していきます。合併と分割の手続き方法について紹介しますので、会社法を勉強されている学生や社会人の方、これから組織再編の手続きを行う実務担当者にもぜひおすすめしたい記事ですので、最後までご覧ください。
この記事をぜひ読んでほしい方
・組織再編の種類を知りたい方
・これから組織再編を実施する会社関係者
1.合併の手続き方法
まず、組織再編を行う前提として、当事者同士で組織再編の契約を締結することが必要です。また、株主と債権者を保護するために会社法でルールとして決められている手続きが重要になってきます。
合併の手続きは分類すると7つの手順が必要です。
①合併契約の締結
②事前開示
③合併の承認決議
④債権者異議手続き
⑤株券提出手続き
⑥事後開示
⑦登記手続き
①合併契約の締結
合併をする場合、合併を行う当事者同士の会社が合併契約を締結することが必要で、一般的には合併契約書を作成します。
②事前開示
合併会社は合併をしてから6ヶ月が経つまでの間について、合併される会社は事前に書面もしくは電磁的記録を本店に置くことが必要です。中小企業の実態としては書類を確認する利害関係者がほとんどいないので、合併の登記については必要な書類を備えた方がよいでしょう。
③合併の承認決議
合併を行う会社は、合併の効力が発生する前日までに株主総会の特別決議による承認が必要になります。
④債権者異議手続き
合併する会社は、債権者に最低1ヶ月の期間のうちに合併することに異議を述べることを官報によって公告もしくは債権者に催告する必要があります。実務では金融機関などの一部の大口債権者にのみ催告を行って、それ以外の債権者は催告を行わないケースの方が多いと言われています。
⑤株券提出手続き
合併される会社が株券発行会社である場合、合併の効力が発生する日までに株主提出手続きを行わなければいけません。
⑥事後開示
合併する会社の取締役は、合併する効力が発生した日から合併される会社から承継した重要な権利義務に関するものを書面にて作成して6ヶ月間、本店に置いておく必要があります。
⑦登記手続き
合併の効力が発生した日から2週間以内に合併される会社は解散の登記手続きを行い、合併する会社は変更の登記手続きが必要です。
2.新設分割の手続き方法
続いて、新設分割の手続きは分類すると3つの手順が必要です。
①新設分割契約の作成
②債権者異議手続き
③労働者保護手続き
①新設分割契約の作成
新設分割を行うにあたり、取締役会決議で新設分割計画書を作成しなければなりません。
②債権者異議手続き
債権者異議手続きの際、以下の債権者が対象となります。
・分割会社の債権者のうち、分割した後の分割会社に対して債務履行請求をすることが不可能な方
・分割承継会社で既存のすべての債権者
③労働者保護手続き
分割事業に関わっている労働者を分割承継会社に移転させる必要があります。ただし、労働者の労働条件の不利益変更は認められていないので注意してくださいね。
3.まとめ
今回は組織再編の手続き方法について解説しました。合併と新設分割の手続きについて解説しましたが、少し内容が難しかったでしょうか。「組織再編の種類について」の記事も前回投稿していますので、もし用語が分からない方は合わせてご覧いただけると幸いです。